世界的に人気の高いお花、チューリップ。
そんなチューリップをお庭や花壇、鉢植えで育ててみませんか?
今回は、球根からチューリップを育てる方法をご紹介します。
「どんな球根を選んだらいいのか」から「植える際に注意するポイント」、「水やり・肥料について」まで幅広く掲載しています。
特に初めてチューリップを育てるという方に、チェックしていただきたい内容になっています。
目次
植える前に知っておきたいこと・注意点
チューリップは全体に、特に球根に皮膚炎を引き起こすアレルギー性物質を含んでいます。
チューリップを栽培する農家さんの中には、アレルギー性の皮膚炎が出てしまうこともあるそうです。
そのため、チューリップを大量に植えるという場合は、ゴム手袋を付けても良いかもしれません。
また、球根は玉ねぎに間違えてしまうことがあるので、注意が必要です。
特に小さなお子さんとチューリップを植える場合は、誤って口に入れないように気を付けてくださいね。
どんな球根を選んだらいいの?
チューリップの球根を用意しようと、園芸店やお花屋さんを見てみると、チューリップの球根がたくさん販売されていて「どれを選んでいいのか分からない…」と、思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どの球根を育てようかと迷ってしまう時は、球根の状態を見て決めるようにしましょう。
具体的にどのようなことを見たらいいのかをまとめたので、チェックしてみてくださいね。
- 凹凸がない
- めだった汚れがない
- 球根が大きい
- 球根がしっかりとしている
最後の「球根がしっかりとしている」というのは、軽く触った時に柔らかくないものということです。
あまり力を入れて触ってしまうと、球根を痛めてしまうので、硬さを確かめる場合は優しく触ってみてくださいね。
球根を植える時期
チューリップの球根は、少し肌寒く感じてきたら植えるとよいとされています。
地域によりますが、10月~11月ごろに植えることが多いです。
紅葉が楽しめるようになったら、チューリップを植える時期に適しているとも言われています。
遅くても、年内の内に植えられるようにしたいですね。
チューリップの開花時期
「チューリップの球根を秋に植えるのは分かったけど、お花はいつ楽しめるの?」と、思いますよね。
チューリップは、春のお花です。
開花時期も地域によりますが、具体的には3月~5月ごろです。
11月に植えたとしたら、4ヵ月程度できれいなお花が楽しめるのですね。
球根を植えたら、ワクワクしながらお花が咲くのを待ちましょう。
どんな土が良い?
チューリップは、水はけのよい土を好みます。
ホームセンターや園芸店へ行くと、チューリップ専用の土も販売されていますが、一般的な草花用培養土でも問題ありません。
そのため、鉢植えでチューリップを育てる際に使用する土は、水はけを意識しながら選ぶようにしましょう。
そして、お庭に植える(地植えする)場合も、水はけが良い場所を選ぶとよりよさそうです。
もし「お庭が全体的に、水はけが良くない…」という方は、チューリップを植える場所の水はけをよくするために、川砂を追加してもいいかもしれません。
かわいらしいチューリップを春に楽しむためには、まず土を整えるようにしてあげてくださいね。
球根の植え方
土を用意することができたら、球根を植えていきましょう。
ここではお庭に植える場合と、鉢植えに植える場合に分けてご紹介します。
どちらも植える場所は、太陽の光が良く当たる場所に植えてあげる・鉢植えを置いてあげると良いと思いますよ。
また球根を植える際に、病気になっている球根があった場合は、その球根をさけて一緒に植えないようにしましょう。
植えない方がよい球根の例としては、水分が抜けているようなカピカピになっているものなどです。
植える際には、球根を1つ1つ確かめるようにすると良いですね。
●お庭に植える(地植え)
お庭でチューリップを育てるなど、地植えする場合の球根同士の間隔と深さをまとめました。
- 球根と球根の間隔:約10㎝
- 球根を植える深さ:球根を3つ縦に並べたくらい
しっかり深く植えてあげることで、根が伸びて地面から出てきてしまうことを防ぐことができます。
前述した通り、日当たり・風通しの良い所に植えてあげてくださいね。
そして球根を植えたら、しっかりお水をあげるようにしましょう。
水をたっぷりあげることで、芽や根を出しやすくすることができます。
ちなみに、チューリップを以前にも植えていたという方は、同じ場所には植えないようにしましょう。
チューリップは、連作(同じ場所に植える)ことを嫌うので、植える場所には注意が必要です。
●鉢植えに植える
鉢植えでチューリップを育てる場合の、球根同士の間隔と深さをまとめました。
- 球根と球根の間隔:球根1つ分
- 球根を植える深さ:球根を2~3つ縦に並べたくらい
- 球根の下から、鉢植えの底までの距離:約15㎝
球根と球根の間を狭めることで、ボリューム感のある寄せ植えにすることができます。
もちろん、もっと間隔を取っても良いと思いますし、1つの鉢植えに1つのチューリップを植えるのも良いと思います。
球根を植えた後は、お庭に植える時と同様に、水をたっぷりあげてくださいね。
チューリップは乾燥に弱いので、土全体を水で潤すようにすることがおすすめです。
球根の植え方で意識したいこと
球根を植える際に、意識しておきたいことをまとめています。
チューリップを植える際は、球根をよく観察してみてくださいね。
●球根にも上下がある
知っている方も多いと思いますが、球根には上下があります。
尖った部分が上で、丸くなっている方が下です。
そのため、植える時も尖った方を上にするようにしてくださいね。
丸い方からは根が、尖った方からは芽が出てきます。
反対に植えてしまうと、土の上に芽が出てくるまでに、余分なエネルギーを使ってしまうことになってしまいます。
●葉の向きをそろえられる方法
チューリップの球根を見ていると、膨らんでいる側と、平たくなっている側があることに気が付くと思います。
クリのようなイメージに近いかもしれません。
実は、この球根のふくらみを意識して植えることで、葉の生える向きをそろえることができます。
チューリップの葉は決まったところから出てくるため、植える際に球根の向きを合わせることで、葉の向きをそろえられるのです。
葉の向きがそろうと、見栄えが良くなることはもちろんですが、葉が重なりにくくなり、風通しが悪くなるということも防ぐこともできるんですよ。
お庭・鉢植え・花壇などに関係なく、少し気にして球根を植えてみてくださいね。
球根を植えて2週間~特に意識したいこと~
チューリップの球根を植えてから約2週間は、根が伸びていく時期です。
そのため特にこの2週間は、水をたっぷりあげることを意識しましょう。
土が乾いたと思ったら、しっかり水を全体にいきわたらせてあげてください。
鉢植えで育てている時の水の量は、鉢植えの底に開いている穴から水が流れ出すくらいです。
ちなみに、勢いよく水をあげてしまうと、土が流れてしまったり、お庭などでは水が下までしみこむ前に流れていってしまったりします。
そのため、ジョウロなどを使って水量を調節して、優しく水やりができると良いですね。
そして、芽が出てきたら1週間に1度、液体肥料をあげるようにするとより元気に育ってくれますよ。
チューリップのお手入れ方法
チューリップのお手入れ方法を簡単にまとめました。
育てる際に、少し意識してみてくださいね。
●育てる場所(飾る場所)
日当たりが良い場所で育てることがおすすめです。
そして、お庭で育てる時は、風通しの良く、前述したように水はけの良い所で育てるようにしましょう。
ちなみに、先ほどもお伝えしましたがチューリップは連作障害があるため、続けて同じところへ植えることは避けるようにしてくださいね。
●水やり
鉢植えの場合は土が乾いたら、たっぷりと水をあげるようにしましょう。
●肥料
肥料は、球根を植える土にあらかじめ、緩効性化成肥料を混ぜておくことが多いようです。
緩効性化成肥料とは、ゆっくりと効果が出るタイプの肥料です。
分からない場合は、園芸店やホームセンター、お花屋さんに聞いてみると良いかもしれませんね。
水耕栽培の方法
土に植わっているイメージが強いですが、チューリップは水耕栽培することもできます。
ここからは、方法をご紹介します。
●球根の状態を確認
まずはチューリップの球根の状態を確認します。
鉢植えやお庭に植える際にご紹介したように、球根が柔らかくないかやカサカサしていないかなどを確認します。
水耕栽培は、土で育てるよりも少し難易度が上がるので、初めの球根の状態のチェックが大切なのです。
そして、選んだチューリップの球根を2週間ほど冷蔵庫に入れます。
この時、球根は軽く新聞紙にくるんだり、紙袋に入れたりしてくださいね。
なぜ、チューリップの球根を冷蔵庫に入れるかというと、お花を咲かせやすくするためです。
「え?どういうこと?」と思う方もいらっしゃると思います。
実は、春にかわいらしいお花を楽しませてくれるチューリップは、冬のような寒さを経験しないとお花が咲かないという植物なのです。
寒さを経験しなくても成長してくれますが、そのチューリップは春にお花を咲かせることができなくなってしまうことが多いのです。
水耕栽培の場合、花壇などで育てる時とは異なり、お部屋の中で育てることが多いと思います。
お部屋の中では、冬になると暖房を入れてしまうことが多いので、室温が常に一定になってしまうことが多いのです。
そのため、冷蔵庫に球根を入れて寒さを経験させることが必要なのです。
●水耕栽培用の容器にセット
2週間冷やしたら、ついに水を入れた水耕栽培用の容器にセットします。
この時、茶色い外側の皮の部分は、水が付くと柔らかくなりカビを発生させてしまう原因になることがあるので、剥いてあげると良いと思います。
容器に球根をセットする前に、外側の皮を剥いて球根が痛みにくい環境を作りましょう。
さぁ、ここまですれば、準備はバッチリ。
後は成長を見守っていきます。
ちなみに、飾る場所(チューリップを育てる場所)は、根や芽が出てくるまではなるべく涼しく暗い場所がおすすめですよ。
球根を日々観察していくと、水に浸かっている部分から根が出てきます。
それを確認したら、根の先が水に浸かるくらいになるように、容器の水の量を変えてあげましょう。
根全体ではなく、先端だけが水に使っているようにすることで、根が呼吸できるようにしてあげます。
実は、根も葉のように呼吸をしているのです。
●容器の水は清潔にする
水の分量を調節するついでに、容器に入っている水を変えて清潔にすることがおすすめです。
容器の水を全て新しいものに変えるのは、少し面倒かもしれませんが、ぜひ新鮮な水にしてあげてくださいね。
●暖かいお部屋に移動
水耕栽培を初めて、だいたい1ヵ月が立つと、根もかわいらしい芽も出てきます。
このタイミングで、水耕栽培をしている涼しい場所から、太陽の光が当たる暖かい場所へ変えてあげましょう。
こうすることで、球根に花を咲かせる季節がやってきたと、知らせることができます。
周りの温度が暖かくなることで、球根が「春が来た」と感じることができるのです。
暖かいお部屋に置いてからは、思っているよりも早く生長していくので、毎日チューリップの様子を見るようにすると良いと思います。
早ければ2週間ほどで、かわいいお花を咲かせてくれますよ。
チューリップを水耕栽培して、食卓に飾るのもかわいらしいかもしれませんね。
ピンクや赤、黄色など鮮やかなチューリップがお部屋にあれば、周りが明るく華やかになりそうですよね。
気を付けたい病害虫
ここではチューリップを育てていく中で、注意したい病害虫についてご紹介します。
水やりの際などに、チューリップを日々観察するようにしておくと、病害虫の被害にあっていることに早く気づくことができるかもしれませんね。
●病気
気を付けていただきたい病気は、褐色斑点病です。
名前から嫌な感じがするこの病気は、葉に黄色っぽい色で小さな斑点ができ、花びらには褐色や白色の斑点ができてしまうというものです。
その斑点は次第に大きくなり、進行すると葉が荒れてしまうのです。
雨が多い時期にかかってしまうことが多いので、注意してあげてくださいね。
●害虫
害虫で特に気を付けていただきたいのは、アブラムシです。
アブラムシは、新しく生えてきた芽や葉の裏などで、植物の汁を吸ってしまいます。
それにより、生長が妨げられてしまうこともあるのです。
また、ウイルス病を引き起こすきっかけになることもあります。
そんなアブラムシは、繫殖力の強い虫です。
そのため数匹見つけた時は放置しないで、数が少ないうちに、駆除できるようにしておくといいですね。
そのままにしておくと、あっという間に数が増えていることも多いので注意です。
春にはかわいらしいチューリップを
今回は、チューリップの育て方を球根選びからご紹介しました。
自分で球根から育てるチューリップは、お花屋さんで切り花を買って飾るのとは、また少し違った楽しさや美しさがあると思います。
球根だったチューリップが、すくすく成長して春にお花を咲かせたら、今まで以上にかわいらしく見えるかもしれません。
また、声を出すなど、自己主張をほとんどすることのない植物が、静かにゆっくりと確実に成長していく姿は、たくましく見えることも愛おしく見えることもありそうです。
興味を持ったという方はぜひ、自分で育ててみてくださいね。
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