今回は丸く黄色い花姿がかわいらいい「ひまわり」について、名前の由来や神話、歴史などをご紹介しようと思います。
子供から大人まで、知らない人はいないと言っても良いほど、幅広い年代の方々から愛されているひまわり。
そんな多くのファンがいるひまわりですが、その歴史など、ひまわりについて知らないことは意外と多いもの。
今まで知らなかったひまわりのことを知って、ひまわりをより楽しみましょう。
目次
ひまわりの名前の由来
小学生から、おばあちゃん・おじいちゃんまで、幅広い年代の方が知っているひまわり。
ひまわりは花壇やひまわり畑、お花屋さんなど様々な場所で見ることができますね。
ここでは、そんな親しみのあるひまわりの名前の由来についてご紹介しようと思います。
●和名:ひまわりの由来
日本で呼ばれている「ひまわり」という名前は、ひまわりのある性質から付けられたとされています。
その性質とは、太陽の移動につれてお花の向きが変わるというものです。
●ひまわりの花が太陽を向く理由
ひまわり畑のひまわりをイメージしてみると、たくさんのひまわりが同じ方向を向いて、太陽の方向を向いているような気がしますよね。
この現象は、ひまわりの茎が部分によって成長スピードが変わることで起きています。
ひまわりの茎の中で太陽の光が当たる部分よりも、光の当たらない部分の成長が早くなるのです。
つまり、1つの茎の中で光の当たり方に影響して、部分によって成長に差ができてしまいます。
ひまわりが、太陽の方向にお花を向けるのは、太陽の光が関わっていることが分かりました。
では、ひまわりの茎の中ではいったい何が起こって生長するスピードが変わるのでしょうか。
それは成長ホルモンが、深く関わっています。
ひまわりの茎の中では、光が当たらない部分にオーキシンという成長ホルモンが移動し、光が当たる部分よりも濃度が高くなっているのです。
つまり、ひまわりはオーキシンの働きによって、日陰側の茎のほうが早く成長し、日なた側の茎に被さるように伸びていきます。
それによって茎の先端が曲がり、太陽の方を向くようになっているのです。
ひまわりが太陽のある方向にお花を向ける仕組みは、茎の生長スピードが日の光に影響して変わっているため。
茎の部分によって成長スピードが異なるのは、驚きですね。
ちなみに、ひまわりが太陽の方向を向くように動くのは、お花が「つぼみ」の時までなんです。
お花が咲いても、太陽の方向を向いているような気がしますよね。
しかし、実際はひまわりが開花する頃には、茎の成長が止まってしまうため、動かなくなってしまうのです。
お花が太陽の方向を向く理由は茎の成長が関係しているため、茎の成長自体が止まってしまえばお花も動かなくなってしまいます。
今回紹介した光によって成長が異なるようになる性質は「光屈性」や「屈光性」「向日性」とも呼ばれています。
気になった方は、光と植物の関係をもっと調べて見ても面白いかもしれませんね。
●英名:sunflower(サンフラワー)の由来
ひまわりは英名で、sunflower(サンフラワー)と呼ばれています。
これは、ひまわりの花姿が太陽に似ているからという説や、「following the sun(太陽に従う)」から、「sun-follow」になり「sunflower」に変わっていったという説などがあります。
英名でもひまわりは、太陽と関連して名前が付けられたのですね。
ひまわりのお花をイメージすれば、サンフラワーという名前が連想できるような気がしますよね。
ひまわりの神話
ひまわりはギリシャ神話とも関わりがあることをご存知ですか?
ここでは、ひまわりに関連するギリシャ神話をご紹介しようと思います。
このお話は、ギリシャ神話の中に登場する大洋の神オケアノスの娘、水の精クリュティエが主人公です。
しかし、アポロンは女神カイアラピに恋をしていました。
そのためクリュティエの恋は片思い。
アポロンへの想いは、叶わぬ恋だったのです。
クリュティエはそのことを悲しみ、毎日アポロンが空の道を黄金の馬車で東から西へ駆けていく様子を涙しながら見上げ過ごしていました。
アポロンのことが好きだけれど、その気持ちは相手に届かない…という切ない気持ちを抱えながら、クリュティエは9日間同じ場所で立ち続け、ずっと地上から天空を見上げ、アポロンの姿を追っていました。
すると、ずっと動くことのなかったクリュティエの足は地面に根を付けて、ひまわりへと姿を変えてしまいました。
このクリュティエのアポロンに対する強い想いが、ひまわりの「あなただけを見つめる」という花言葉の由来なのだそうです。
また、ひまわりが東から西に移動する太陽を追うのは、クリュティエが見続けたアポロンの乗った空を進む馬車と同じだとも言われています。
ひまわりの歴史
夏の花と言えば、多くの方がイメージするほど親しまれている、ひまわり。
「ひまわりがお花の中で1番好き」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、そんなファンの多いひまわりの歴史をお伝えしようと思います。
●ひまわりは食用として栽培されていた⁉
ひまわりは北アメリカ原産の植物で、紀元前1500年頃から栽培が始まったとされています。
私たち人間とひまわりとの間には、とても長い歴史があるのですね。
では当時、ひまわりは何のために栽培されていたのでしょうか。
それは「食料」としてです。
お花屋さんで見かけるように、ひまわりは観賞用としてのイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、もともとひまわりの栽培が始まったのは、目的は食料としてでした。
原産国である北アメリカに住んでいたネイティブアメリカン(インディアン)は、種から栽培する唯一の農作物として、ひまわりをたくさんの土地で栽培されていたようですよ。
ひまわりは高いエネルギーを得ることができるため、とても重要な作物の1つだったそうです。
ちなみに当時のひまわりの食べ方は、様々な方法があったとされています。
例えば、ひまわりの種をつぶし、お菓子やパンの生地として使ったり、他の肉などの食材とひまわりの種を混ぜて食べたり……そのままだけではなく焼くことや他の食材と混ぜることもされていたようです。
ひまわりは、たくさんの種類で食べられていたと考えられているのですね。
そしてひまわりの種は「パンを焼く時に使われる油も、ひまわりの種を絞って使っていたのではないか」という説もあるそうです。
ひまわりは加工の方法が、たくさんあったことがうかがえます。
また、ひまわりは食料としてだけではなく、染料や薬としても使われていたとも言われています。
1つの「ひまわり」という植物から、数多くの活用があったのですね。
●北アメリカからヨーロッパへ
先ほどお伝えした通り、北アメリカで誕生したひまわりは、紀元前1500年頃からインディアンによって広く栽培されていたことをお伝えしました。
ここからはその後、ひまわりがどのように「世界へ広がっていったのか」をお伝えします。
コロンブスがアメリカ大陸を発見した後、1500年代中頃にスペインの医師ニコラス・モナルデス氏がひまわりに興味を持ち、種をヨーロッパに持ち帰りました。
後にその種はスペイン王立植物園に持ちこまれ、ひまわりの栽培がヨーロッパでもスタートしたのです。
それをきっかけとして、徐々にスペインからフランス、イギリス、ロシアへとひまわりが広まっていきました。
主にヨーロッパでは観賞用に栽培され、改良が行われていきました。
一方、ロシアでは食用としてさらに改良されて栽培されるようになっていたのだそうです。
そのためロシアでは、食用のひまわり畑が多く作られていたそうですよ。
●ひまわりが日本へ
ひまわりは、スペイン王立植物園に持ち込まれたことから、少しずつヨーロッパ・ロシアへと広がっていきました。
ここでは、徐々に多くの国々で生産されるようになっていったひまわりと、日本の関わりを見ていこうと思います。
日本にひまわりが伝わってきたのは1660年代後半です。
ひまわりがヨーロッパから中国に伝わり、ついに日本へやって来ました。
日本にひまわりが伝わったのは、スペインでひまわりが栽培されてから100年ほどが経ってからだったんですね。
「訓蒙図彙(きんもうずい)」という図が入った百科事典にも「丈菊、俗に言ふてんがいくわ(天蓋花)、一名迎陽花(げいようくわ)」という記述があったことが分かっています。
その後「日廻り(ひまわり)」から「向日葵(ひまわり)」と呼ばれるようになりました。
「ひまわり」と日本で呼ばれるようになってきたのは、1700年頃と言われています。
聞き慣れているせいか、「じょうぎく」という名前よりも「ひまわり」という名前の方があっているような気がしますね。
最後に
今回は、今の時期にぴったりな「ひまわり」の名前の由来やギリシャ神話、歴史などをご紹介しました。
子供の頃から親しみのある花の1つですが、意外に知らないこともあったのではないでしょうか?
ひまわりに関わる歴史などが分かれば、ひまわりをもっと楽しむことができそうですよね。
お花屋さんでひまわりを見かけた際や、ひまわり畑に行った際は、少し思い出してみてください。
遠い土地からはるばるやってきて、現代もこんなにきれいなお花を見せてくれていると思うと、いつもとは違った見え方や、感じ方が体験できるかもしれません。
また、ひまわり畑に行った際は、ひまわりの花が向いている方向を確認してみてください。
ひまわり1本ずつが、それぞれ花をどの方向に向けているのかチェックしてくのも面白いかもしれないですね。
夏休みの自由研究の1つにもなりそうです。
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