仏花のルール・
マナーQ&A
故人に手向けるお花(仏花)には、実は厳密なマナーやルールはありません。大切なあの人が好きだったお花・季節折々の美しいお花を、心を込めて飾ることが何よりのご供養になります。
しかしながら、そうは言われても“目安”となる考え方は知りたいところ。
そこで今回は、知恩院の僧侶でありながら、華道家としてもご活躍されている大津憲優さんに、お花をお供えする際の基本的な知識をお伺いしました。
仏花を贈ったり、お供えしたりする際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
しかし、どうしてお花が故人へ想いを届けてくれるのでしょうか。
そもそもいつから人は、故人にお花を手向けるようになったのでしょうか。
今回は、そんな仏花にまつわるお話を、冒頭のセリフにも出てきた大津さんに教えていただきました。
今回お話してくださった
僧侶 兼 華道家さん
大津憲優さん
浄土宗修練道場・華道講師
西雲寺第二十一世住職
正念寺第三十八世兼務住職
知恩院の所属寺院に従事する傍ら、都未生流の華道講師としてもご活躍中
仏花の色
● タイミング別のお花の色選びの基本
お通夜・葬儀・初七日・四十九日以降・それ以降の年季など、タイミングによってお供えするお花の色に特徴があります。ルールというほどではありませんが、覚えておくと安心です。
・お通夜・葬儀・初七日:白を基調とした花でまとめることが多い
・四十九日以降・それ以降の年季:白を中心にピンクやブルー・黄色などの淡い色でまとめることが多い
仏花の本数
お花の本数は、3本・5本・7本など奇数が良いとされています。
その理由には、「半分に割れない奇数には不思議な力が宿っている」という古来から続く考え方でしたり、「単純に偶数で入っているよりバランスが良い」というものなどがあります。
仏花に適さないお花
以下のようなお花は仏花に用いるのは避けた方が良いでしょう。
● 香りのきついお花
カサブランカやオミナエシなど。
使ってはいけない理由としては、香水と同じように、あまり匂いがきついと不快に思われる方も少なからずいるからです。
ただ最近では、カサブランカなどを仏花として使うケースも増えているようです。現代社会においては、必ずしもマナー違反とされているわけではありません。
● トゲのある花
カラタチやボケなど。殺生や怪我を連想させるためです。
ただ現代では、トゲのある薔薇も仏花として使われているケースが多くあります。上記のカサブランカと同様に、これも必ずしもマナー違反とされているわけではありません。
● 人が食する花
あわやきびといった五穀、他にオクラなど。人が口にするものをお花としてお供えすることは、あまりよろしくありません。
● 毒のある花
毒のある花も仏花では避けましょう。具体的には、すずらん・レンゲツツジなどです。
● 名前や意味のよくない花
死人花(シビトバナ)など。シビトバナとは、彼岸花のことです。墓地に植えられていることが多く、「死」を連想してしまい、あまり縁起がよくないためです。
ただし彼岸花は毒の観点では問題なく、また仏教的には本来縁起の良い花なので、お彼岸などのお供えとしては飾ってもらっても問題はありません。
● 槿(むくげ)のお花
むくげは「一日花」と呼ばれる一日で枯れてしまう花で、「無常」を感じさせるため避けられています。
このほかにも、名前がわからない花などは避けるようにしましょう。
仏花の飾り方
● お仏壇に仏花を飾るとき
お仏壇には左右で一対になる位置に花瓶がついていますので、同じ花束をふたつ用意して飾りましょう。
もし花瓶が1つしかない場合は、向かって左にお花を、真ん中にお香を、右にロウソクを飾りましょう(これを三具足と呼びます※)。
また、花瓶が三本脚の場合は一本を正面に、絵柄のものは一番きれいな面を正面にしてください。
● お仏壇以外に仏花を飾るとき
お仏壇以外の場所(故人に縁がある場所や故人の好きだった場所など)にお花を供えるとき、用いる花瓶や器にルールはありません。ご自身が好きな大きさや形のものを選んでください。
ただし、あまり奇をてらったような形・他人が見て不快に感じるような色使いや形は避けましょう。
● 複数色の花を飾るときのポイント
お花を花瓶に入れるとき、お花の色が上から下に向けて薄い色〜濃い色となるように飾りましょう。上に薄い色を、下に濃い色を生けたほうが全体のバランスが安定し、美しく見えます。
なお、これは仏花だけでなく、普段からお花を飾るときに役立つ方法です。ぜひ参考にしてみてください。
仏花を飾るのに相応しくない場所
お手洗いや神棚は避けましょう。お手洗いは不浄とされていますし、神棚は神様という他に敬う対象がいますので。
ただし、仏花としてではなく、純粋にお花を飾るのであればお飾りいただいて結構です。
また、散らかっている場所はよくないので、ものを片付けて花が映える場所にしてあげましょう。
お名札の書き方や予算が
気になる方はこちらもチェック
▼
まとめ
お仏壇にお花を供える際には、今回ご紹介したようなマナーやルールが存在します。近年ではこういったルールは少しずつ変化し、自由度が高くなってきてはいますが、高齢の方や昔ながらの方法を重んじる地域では重視される傾向がありますので、覚えておくと良いでしょう。
このほか、大津さんにお伺いした、なぜ故人にお花に手向けるようになったのかの歴史や、季節のおすすめのお花をおまとめしたインタビュー記事もぜひご覧くださいね。
花キューピットでは、お供え・お悔やみなどそれぞれのシーンに合わせてお花をご用意しています。
お供えのお花でお悩みの際は、一度花キューピットをご覧ください。