花を贈る際の
「5W3H」!?
上司や先輩をお祝い
する際のマナー
【専門家監修】
お世話になった職場の目上の方が職場を離れるとき、新たな門出を祝う贈り物として候補に挙がりやすいのがフラワーギフトではないでしょうか。
感謝や尊敬の想いを込めて盛大に花を渡したいところですが、親しい中にも礼儀をわきまえるべき職場だからこそ、マナーや慣例に配慮することが大切です。そんな時に意識したいのが、ギフトの贈り方における「5W3H」です。
この記事では、職場の目上の方に花を贈る際のマナーや心得について、マナー講師の松原奈緒美さんに詳しく教えていただきました。
今回お話してくださった先生
松原奈緒美 さん
マナー・コミュニケーション領域の専門家として、企業・学校、各種イベント、講演などで講師として活動。講演・研修の年間登壇本数約150本、これまでの受講者延べ人数は35,000名を超える。著書に「新しい生活様式・働き方対応ビジネスマナー100(新日本法規出版)」がある。株式会社EXSIA代表取締役。NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャー講師。
目次
フラワーギフトは「華を添えて、花道を飾る」贈り物になる
――職場でお世話になっている、目上の方のお祝い事や門出のタイミングには花を贈るのが一般的ですが、どうして花なのでしょうか?
「華を添える」という慣用句がありますよね。その言葉通り、花には特別感・非日常感があって、その場がパッと華やいだ雰囲気になります。
目上の方の新たな旅立ちを祝福し、「花道を飾る」という意味を込めた応援のメッセージにもなるでしょう。
また手元に残るプレゼントは、その方の趣味やお部屋の雰囲気などを把握していないと選びにくいですよね。しかし、花束やアレンジメントなど切り花を使用したフラワーギフトは良い意味で消え物です。花は贈る相手の好みを大きく気にすることもないため、贈り物として多くの方に選ばれるのではないでしょうか。
――プリザーブドフラワーやハーバリウムなど、生花でない花をお祝いとして贈るのはどうでしょうか?
花を贈るシチュエーションや目的・お渡しする方のライフスタイルに合っていれば、プリザーブドフラワーやハーバリウムも良いのではないかと思います。
ただ、やはり華やかさでは生の花に勝るものはありませんよね。
退職祝いや昇進祝いのようなお祝いの場や、きちんとしたセレモニーで花を渡すようなシチュエーションの場合、プリザーブドフラワーやハーバリウムでは印象が弱いかもしれません。
色とりどりの花が持つ豪華さや贈られたときの特別感も、生花ならでは。そういった意味で、お祝いの席であれば何か事情がない限り生花を選んだ方が良いかと思います。
プリザーブドフラワーを贈りたい!
▼
花束やフラワーアレンジメントを贈りたい!
▼
ギフトは「5W3H」を意識しよう!いつ、どこで、なぜ贈るの?
――では、職場の目上の方に花を贈る際は、どんな花がおすすめですか?
花言葉から花選びをしてはいかがでしょうか?
お世話になった方に伝えたいのは、感謝や尊敬の念、そして新たな門出への祝福などだと思います。そういった意味の花言葉を持つ花を選ぶと良いでしょう。
具体的には、「感謝」の花言葉を持つピンクのバラ・白いダリア・ピンクのカーネーション、「尊敬」の意味を持つ白いバラ、「前進」のガーベラなどがおすすめです。
お祝いのお花を贈りたい!
▼
――花束・ブーケ・アレンジメントなどいろいろなスタイルがありますが、どんなものがいいのでしょうか?
どのスタイルがふさわしいかは、一概にはいえません。「どんな場面で贈るのか」「どうして花を贈るのか」「渡された後、花をどうやって持ち帰るのか」「家で飾ることができるのか」などのポイントを考慮した上で選んでください。
例えば、「どんな場面で贈るのか」を考えた場合。定年退職などのようにセレモニー的な花束贈呈の場面であれば、見栄えがする花束がおすすめです。「家で飾ることができるのか」を考えた場合、花を生け直す時間が取れないことや花瓶をお持ちでない可能性もあるので、置くだけで飾れるアレンジメントが親切です。すぐにお引越しされるなら生花は取り扱いに困る可能性もありますよね。
このように、お祝いの席にふさわしいフラワーギフトは、ケースバイケースで変わってきます。
- 【MEMO】ギフトの贈り方「5W3H」
-
What 何 何を贈るのか?相手を想像して選ぶことが大切です。 When いつ いつ贈るのか?贈る(届ける)日程や時間も、贈る目的や、相手の状況に合わせて決めましょう。 Where どこ どこでお渡しするのか?(どこへお届けするのか?)場所やシーンも考えましょう。 Why なぜ 贈る目的は何でしょうか?お渡しする時には、目的に合った言葉を添えると良いでしょう。 Who だれ 贈る相手によって、合うギフトも変わります。 - 組織宛の場合などは、受け取る相手を考える。
- 複数名にお渡しする場合は、順番も考える。
How to 方法 直接お渡しするのが最も丁寧ですが、相手の都合や贈るシーンに合わせて、郵送など適切な方法を選びましょう。 How much 金額 相手との関係性、目的別の相場に考慮しながら - 相手に喜んでいただける。
- 相手が負担を感じない。
How many 量 大きさや量は、「贈る相手」「贈る目的」「贈るタイミング」「渡し方」などとともに、贈った後、相手に負担にならないことも考慮して選ぶと良いでしょう。
大事なのは、優先順位をどこへ持ってくるか。「渡すときの華やかさ」を取るのか、「持ち帰りやすさ」を取るのか、もしくは「もらった後の扱いやすさ」を取るのかなど、花を渡す場面や花を受け取る相手のことを想像しながら選ぶといいですね。
「自己判断」をしない!お祝いの仕方・花の贈り方で大切なこと
――職場の目上の方に花を贈る際、何に気をつければいいでしょうか?
一番大事なのは、自己判断で勝手に花を贈らないことですね。まずは職場の慣例に従いましょう。例えば、「部署の皆で花束を贈る」「参加者を募ってお金を集めて贈る」「特に贈り物はしない」など、慣例が定まっている職場は多いと思います。迷ったら会社の先輩や上司に聞いてみましょう。
最近は、虚礼(習慣ゆえに行われている形式的なお礼行為)を廃止する企業も増えています。また、「お祝いへの参加を募るのはハラスメント行為にあたる」として、職場一同でのプレゼントを禁止している企業も見られます。
職場によってプレゼントへの考え方や方針は異なるので、どんなお祝いにしろ、慣例に従うことが大事です。勤め先にお祝い事で贈り物をする慣例がないのであれば、贈らない方が良いでしょう。
職場でお世話になった方へ
個別に花を贈ってもOK?
▼
【チェックリストあり】職場での花贈りは「段取り」が命!
――スムーズかつ気持ちよく花を贈るには、どのような調整や配慮が必要でしょうか?
どんな種類のお祝いにしろ、幹事の方が段取りをしっかり組むことが大事です。
お祝いを贈る相手のスケジュールを確認して、「いつ渡すのか」「誰がどうやって渡すのか」をしっかり決めておきましょう。
- 【段取りのチェックリスト】
-
- □花を贈る日、受け取る時間に合わせて注文したか(配達の場合)
- □本人に気づかれない場所で受け取れるか
- □届いた花の保管場所はあるか(空調に注意する)
- □いつフラワーギフトを渡すのかスケジュール調整は済んでいるか
- □本人のスケジュール確認はできているか
- □誰がどのように渡すのかを決めているか
- □他社員への情報伝達は済んでいるか
- □(朝礼や終礼、全体ミーティングなどで渡すなら)進行役への根回しはできているか
どのお祝い事においても、フラワーギフトを渡すタイミングについて絶対的な決まりはありません。会社の慣例や就業時間、業務スケジュールに配慮して決めましょう。いずれの場合でも大事なのは、先輩や同僚に確認し、段取りをしっかり組んでおくことです。
異動・退職・結婚・出産…【イベント別】
花を贈るグッドタイミングは?
▼
職場で花を贈る際は、役職や年次への配慮が必須
――合同送別会のように複数人に同じお祝いをする場合、先輩と後輩、または役職の違いで渡す花やギフトに差をつけるべきでしょうか?
職場の慣例によりますが、一緒にお祝いをするのであれば、目に見えて差をつけるのはあまりおすすめできません。例えばフラワーギフトは同じサイズ感にして、プレゼントをそれぞれに合わせたものを選んで金額に差をつけるのも一案です。
「課長と若手へまったく同じ花を贈るのはちょっと気が引ける……」ということであれば、メインの目立つ花は同じものにして、他の花を変えたりラッピングを変えたりなど、少しの工夫で差異をつけるといいですね。
職場でお世話になった方への
ギフトの予算相場は?
▼
宅配が喜ばれることも!?手渡ししないのが良い状況とは
――花を職場で渡さず、配達で贈った方がいいケースもありますか?
贈り物は手渡しが一番丁寧な渡し方です。しかし、手渡しすることで相手に手間やご迷惑をかけてしまう場合もあります。
例えば、大きいフラワーギフトや鉢植えなどは持ち帰るのが大変ですよね。また、結婚祝いは式場へお届けするのが一般的ですし、引っ越しを伴う異動や転職であれば、引っ越した後に郵送した方が相手にとってはありがたいと感じる場合もあります。
また職場で花を手渡しする際も、当日オフィスに花を配達してもらうと幹事役の方が買いに出る負担が減りますので、そういった宅配サービスを利用してもいいですね。
まとめ
今回は、職場の目上の方にお花を贈る際のマナーや心得などについてご紹介しました。面と向かっては伝えづらい感謝や尊敬の念・新たな門出や旅立ちを祝うには、花はぴったりな贈り物です。職場の慣例を確認しつつ、お世話になった方にはぜひ素敵なお花を贈ってあげてくださいね。
また、おすすめの花や避けるべき花、お花を渡す作法、シチュエーション別のメッセージカードの書き方例文などは、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。
「職場でお花を贈りたい」
そんな時はマナーをチェック
▼