知らないと失礼に!?
お見舞いのお花の
最新マナー
【専門家監修】
お見舞いの贈り物として定番のお花は、その美しさや生命力で、私たちの代わりに入院中の方へエールを届けてくれます。最近は病院側で面会を制限していることがあり、直接会ったり話したりすることが叶わないケースもあります。そのような時にお贈りしたいのがお見舞い花ではないでしょうか。
この記事では、お見舞いでお花を贈る意味やお届けするタイミング、お花を配送する際の心配りなどついて、マナー講師の山木理代先生に教えていただきました。
今回お話してくださった先生
山木 理代 さん
都内企業数社にて秘書として勤務した後、2008年よりマナー講師としての活動を開始し、2013年より「サロン・ド・エサンシエル」を主宰。暮らしを豊かに彩るマナー講座と良好な人間関係を築くビジネスマナー講座を開催。企業の新入社員研修、ビジネスマナー研修、接遇マナー研修、大学での講義や雑誌のマナー監修・執筆など活動の場を広げている。
目次
お花は療養生活に彩りと癒し・元気を与えてくれる
――お見舞いへ行く際はお花を持っていくのが定番ですが、なぜお花が選ばれやすいのでしょうか?
お花は、応援したい気持ちをそっと託すことができる、お見舞いにおすすめの贈り物です。治療中の方に「早く良くなるといいね」「リハビリ頑張ってね」と直接言葉にして伝えると、ご本人にプレッシャーを与えてしまうこともありうるのです。
その点、お花は何も言わないけれど、その美しさでエネルギーを与えてくれる存在です。
また、お花は悲しいときも寂しいときも、心にスッと寄り添ってくれます。病室って白くて味気ないことが多いですし、たったひとりで病気や辛い治療と戦っているときって、誰もが不安を感じますよね。そのようなときに華やかな色合いのお花がふと目に入るだけでも、気持ちが和んだり元気や勇気をもらえたりするのではないでしょうか。
――他には、どのような良さがあると思いますか?
植物は人間の悪い気を吸ってくれるとも言われています。「人間関係が悪い職場や、ストレスフルな場所に置かれている植物は、枯れるのが早い」なんてエピソードを聞いたことはありませんか?
お花はその姿かたちで入院中の方を楽しませながら、同時に悲しみや不安な気持ちを吸収します。このようにしてネガティブな感情を和らげ、ご本人やその場所を良い気で満たす……そんな役割をお花が果たしてくれていると思います。
お見舞いのお花をみてみる
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療養中の心はとても繊細。花贈りで確認すべきこと
――お見舞いのお花は、どのようなタイミングで贈るのが良いのでしょうか?
お見舞いのフラワーギフトは、療養中のお相手がお花を飾ることができるような余裕ができたり、少し落ち着いたりしたタイミングで贈るのがおすすめです。
だからこそ、贈る相手にとってお花を届けても迷惑にならないタイミングを知ることが大切です。できるだけ、ご本人や付き添いの方と連絡をとり、お相手の容態や状況を聞いてから、お見舞いのお花の手配を始めましょう。
――入院していることを知ったタイミングが遅かった場合、どうするのが良いでしょうか?
お相手の入院を知ったのが退院間近のタイミングであった場合、退院祝いとしてフラワーギフトを贈るのが良いでしょう。
ドラマやニュース映像では、退院祝いとして病院の出入り口で花束をもらっているシーンを見かけますよね。しかし、入院すると意外に荷物が増えるものです。必要以上に持ち帰るものを増やさない心遣いも大切です。それに、病院へ「退院おめでとう!」と駆けつけられるような近しい間柄であれば喜ばれるかもしれませんが、ご本人や付き添いの方にとって迷惑になりかねません。
なにより、退院時は一刻も早く自宅へ帰りたいのが多くの人の本音ですよね。ですので、退院祝いとしてお花を贈るのであれば、退院後にご自宅へお花を配送するのが良いでしょう。
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マナーの中で、喜ばれる心配り・花贈りが重要
――お見舞いにお花をお贈りする際、気をつけるべきマナーはありますか?
一般的に、お見舞いでNGとされているお花は避けた方が良いでしょう。例を挙げれば、根を張る鉢植えの植物や、お悔やみのシーンを連想させる菊や白色・紫色のお花、血液を思わせる赤色のお花、「死」や「苦」の語感を持つお花、生花ではないドライフラワー・プリサーブドフラワーなどですね。
療養中は、多くの方が普段よりセンシティブになっています。平常時であれば気にならないことでも、音の響きから「死」や「苦」を連想してしまうように、ネガティブなイメージへ引っ張られてしまいがちです。お花を贈った側に一切そんなつもりは無くても、療養中の方へ誤ったメッセージとして伝わってしまうこともあるので注意が必要です。
また、お花を受け取ったご本人は気にしなくても、同室の人に不快感を与えてしまう恐れもあります。もしかすると、例えばお見舞いの方が訪れた際に、「どうしてこんな縁起の良くないお花を飾っているの?」とネガティブに受け取られてしまうかもしれません。
このほか、香りが強いお花も避けた方が良いですね。元気なときは「良い香り」と思うお花でも、体調が悪いときに嗅ぐと不快に感じたり、具合が悪くなったりする一因にもなりかねません。他の患者さんにとって、その香りがストレスとなることも考えられます。
マナーとは、みんながなるべく快適に過ごすためのエッセンスです。病院というパブリックなシーンだからこそ、控えるべきところは控えて、お花の選択肢は限られるけれどその中でどう思いを表現するか。それを考えてみてほしいですね。
贈る前に知っておきたい
お見舞い花のタブー8選
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コロナ禍以降のお見舞いの花贈りマナーとは?
――コロナ禍を経験し、お見舞いの状況は以前と変わりました。その中で、お花を贈る際はどんなことに気をつければ良いでしょうか?
最近は面会を制限している病院もあることから、配送でお花を贈る方も増えていらっしゃるのではないでしょうか。その場合、まずは病院にお花を贈って良いかどうか確認しましょう。お見舞いのお花を受け付けている場合は、受け入れ時間帯などの詳細を調べましょう。病院のルールやガイドラインに則り、万全の配慮をしてお花の手配をすることで、気持ちの良い贈り物になります。
ただし、今は衛生上の観点から生花の持ち込みそのものを禁止している病院があります。
先程もお伝えしたように、お見舞いのお花として、生花ではないドライフラワーやプリサーブドフラワーはおすすめではありません。しかし、生花を贈ることができない場合の代替品として、プリザーブドフラワーやハーバリウム※を選ぶのも一案です。
※ハーバリウム:プリザーブドフラワーやドライフラワーをガラス瓶へ入れて、専用オイルに浸したもの。上の写真はハーバリウムです。インテリアとして人気があります。
その場合は、贈る相手へ誤解を与えないよう、「病室へお花を贈りたいけれど、生花の贈り物ができないと聞いたので」と一言添えてくださいね。
「頑張って」より「ゆっくりね」。寄り添う想いをお花に込めて
――お花と一緒に何かプレゼントを贈りたい場合、どんなポイントで選べば良いでしょうか?
お花だけでも気持ちは十分に伝わると思うんです。入院中って自分のことに精一杯なので、贈る側が必要以上のことをしてしまうと、ご負担に感じてしまいかねません。品物は必ずしも贈らなくてもいいと思いますよ。
「親しいから力になりたい、何かしてあげたい」という気持ちが強いのであれば、ご家族やご本人に「今必要なものってある?」とシンプルに聞いてみるのが良いと思います。
――お見舞いでお花を渡すとき、どんなメッセージと共に渡すのがよいのでしょうか?「言わない方が良いこと」もあるのでしょうか?
お見舞いのシーンにおいて避けたいメッセージは「頑張って」です。お花を渡すときについ言いたくなる気持ちはわかるのですが、ご本人はすでにものすごく頑張っていらっしゃいます。辛い治療を受け入れて痛みや苦しみと闘っているので、「ゆっくり焦らずに」といった相手を思いやる言葉などを届けてみてはいかがでしょうか。
または、「このお花があればお部屋が明るくなると思って」「ガーベラには希望という花言葉があるんだよ」「お花に想いを託して贈るね」といったメッセージが良いかなと思います。
適切な言葉が浮かばないのであれば、無理に言葉をかけようと思わなくてもいいのです。お花を通して「なかなか会えないけれど、あなたのことを想っているよ」という気持ちが伝わるよう、療養中の方のことを想ってお花を選び、エールを届けてあげてください。
お見舞いの気持ちを届ける
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この記事では、お見舞いでお花を贈る意味やお届けするタイミング、配送などでお花を贈る際の心配りなどついてご紹介しました。
お花選びのポイント、予算相場、タブーとされているお花やギフトについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてお読みください。
お見舞いの予算やタブーを
マナー講師に聞きました
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