正月の花の種類
~正月飾りにも使う
縁起の良い花~
「普段は花を飾らないけれど、正月・新年には花を飾る」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は正月に飾りたい縁起の良い花・正月のおめでたい雰囲気に最適な花の種類についてご紹介します。
華やかで美しい花を飾って、新年を彩りましょう。
また、干支についても掲載中。
2025年の干支は、乙巳(きのとみ)です。
あらためて干支について知りたい方も、チェックしてみてください。
目次
松
正月に欠かせない松。
松は、正月のイメージが強いのではないでしょうか。
正月のシーズンになると、松は門松をはじめとした正月の花束やフラワーアレンジメントなどで様々に活用されています。
松が正月に飾られるようになった理由は、不老長寿の象徴であり、子孫繁栄を願う植物として考えられているからです。
不老長寿の象徴となったのは、1年中葉を落とすことのない常緑樹である松は冬など、他の植物が葉を落としてしまう時も、常に葉を青々とさせていることが由来だと言われています。
私たちの祖先は、1年を通して緑色を絶やさない松を見て「生命力が強い」と感じ、子孫繁栄を願う植物として特別に思ったのかもしれませんね。
ちなみに、松の花言葉は「不老長寿・永遠の若さ」などがあります。
花言葉からも年間で緑を絶やすことのない松が、特別な存在であると考えられていたことが伝わってきますね。
梅
梅も先にご紹介した松のように、正月のイメージが強い花だと思います。
花束やフラワーアレンジメントのみならず、年賀状のイラストに使われていたり、デパートなどの初売りポスターや広告に使われていたり、正月シーズンは特に様々な場所で梅を見かけることができると思います。
では、なぜ梅が正月シーズンによく用いられるのでしょうか。
それは 、梅の開花時期が由来だと言われています。
梅が開花するのは、厳しい寒さの時です。
具体的には、地域によって差はありますが2月~3月とされ、梅は早春の時期に花を咲かせます。
この時期に花を咲かせる植物は珍しく、梅はどの花よりも早く1番に花を咲かせ、春を知らせる花とされているのです。
このことから、梅は「出世・開運・高潔」の意味を込めて、正月に飾ることが多いのだそう。
また、梅全体の花言葉は「上品・忠実・高潔」などです。
梅は色によって花言葉がそれぞれ決められており、赤の梅とピンクの梅は「あでやかさ」で、白の梅は「気品」という花言葉を持っています。
正月に梅を飾りたいけれど色で悩むという方は、花言葉で色を決めてもいいかもしれませんね。
ちなみに花言葉は国によっても違いがあり、西洋(英語)の梅の花言葉は「beauty and longevity(美しさと長寿)・fidelity(忠実)・Keep your promise(あなたの約束を守る)」などがあります。
竹
門松でも使われている竹。
竹は「子孫繁栄・長寿・生命力・成長」の象徴とされています。
「子孫繁栄」は、竹が常に青々として曲がらずにまっすぐ伸びる様子と、しっかりと根をはり新芽を出していく様子が由来とされています。
「長寿・生命力・成長」は、竹の成長が早く、折れにくいことからといわれています。
ちなみに、竹は大きく曲げても折れることがない、しなやかな植物とも言われています。
竹を細かく割いて編まれたカゴやバックなどを、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
竹は花束やフラワーアレンジメントなどのフラワーギフトだけでなく、工芸品としても使われているのです。
また、竹には節があり、節目ごとに真っすぐ成長できるようにという願いを込めて、フラワーアレンジメントの器(花器)としても使われることもあるそうです。
正月シーズンに飾られているフラワーアレンジメントは、花器にも注目して見てくださいね。
竹と言えば「門松」。
竹が印象的な門松を飾る意味って?
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南天
南天の実は、「南天」は「難転」と同音であり「難を転ずる」に通じることから、縁起の良い植物とされています。
江戸時代中期に編集された「和漢三才図会」という本には、「南天を庭に植えれば火災を避けられる」という記載があり、南天は火災避けの効果があると信じられていたようです。
ちなみに南天は、庭に植えられていることもありますが、特に正月のシーズンになると花束・フラワーアレンジメントにも、よく活用されています。
赤い実が正月の花の良いアクセントになり、華やかさをプラスしてくれますよ。
また、南天の花言葉は「福をなす」などがあります。
花言葉も南天は、正月に飾る花に最適ですね。
千両・万両
千両・万両も、南天と似た赤い実を楽しむことができる植物です。
どちらもその名前から、商売繁盛の縁起木としても人気があります。
千両の花言葉は「利益・富・財産・裕福・恵まれた才能」などです。
千両という花の名前と、たくさん実をつけることが花言葉の由来とされています。
ちなみに、初めに赤い実を付けるとご紹介しましたが、千両は黄色の実のものも流通しています。
千両は庭に植えるための地植え用と、花束とフラワーアレンジメントなどで使われる切り花としてお花屋さんなどで販売されています。
ただ、正月の花束やフラワーアレンジメントで使われるのは、赤い実の方が多いようです。
万両の花言葉は「財産・寿ぎ・金満家・徳のある人」など。
花言葉の「寿ぎ(ことほぎ)」は、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、「めでたいこと」という意味があります。
花言葉も、正月に飾るにはぴったりですね。
万両は写真のように庭に植えられているイメージが強いですが、花束やフラワーアレンジメントで使う切り花としても流通しています。
特に正月のフラワーギフトでは、万両が生けられていることも多いので、注目してみてくださいね。
また、千両と同じく万両も赤以外の実を楽しむことができます。
万両は、赤・白・黄色の実を付ける種類もあります。
万両の品種の中には、実が熟すと白くなっていくものもあるのだそう。
正月シーズンには、やはり赤い実がよく流通していますが他の色もあるので、庭に万両を植えようと思っている方は、品種にもこだわるのがおすすめです。
同じ万両を使って、実の色を紅白になるように植える方もいらっしゃるのだそうです。
ちなみに、千両よりも万両の方がたくさん実を付けます。
千両と万両を見る機会があった時は、実の数もチェックしてみてくださいね。
千両と万両の違いは?
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菊(マム)
縁起の良い花といえば、菊です。
菊は「菊を飾ると福が来る」と言われるほど、縁起の良い花として有名です。
もともと菊は、中国から日本へ不老不死の薬として渡ってきました。
9月9日に菊酒などを飲み長寿や健康を願う「重陽の節句」があり、現在でも菊は長寿を願う縁起の良い花として定着しています。
さらに、天皇の紋章として菊のデザインが使われていて、花言葉は「高貴・生命力」などがあります。
縁起物として知られる菊は、高貴な花でもあり新しい年を祝う正月にぴったりなのですね。
加えて菊は他の花よりも、花持ちが良く、比較的に長くきれいな姿を楽しませてくれます。
年末から年始にかけて、長く縁起の良い花を飾りたいという方にもおすすめです。
一方、菊の花と聞くとお供えのイメージがあるという方も、いらっしゃるかもしれません。
「お供えの菊」というイメージが気になるという方は、お供えでよく用いられる大輪菊を避けて、ピンポンマムやスプレーマムなどの品種の菊を使うことがおすすめです。
同じ菊でも品種によって、印象は全く異なります。
正月の花束やフラワーアレンジメントに最適な華やかで明るい、イメージに仕上げることができますよ。
ちなみに、もともとお供えで菊が選ばれている理由は、他の花よりも長持ちで枯れにくく、邪気を払うとされているためといわれています。
デンファレ
胡蝶蘭のような高級感漂うデンファレは、一年の始まりである正月の花束やフラワーアレンジメントにぴったり。
デンファレは誕生日や結婚記念日のプレゼントとして花束やフラワーアレンジメントに使われることもありますが、正月のフラワーギフトとして選ばれることも多いです。
理由は、はじめにお伝えした高級感。
そして、花持ちの良さです。
デンファレはランの仲間であるため、他の花よりも比較的花持ちが良く、1つの茎から複数の花が咲いているデンファレは、下から順番に花が咲いていきます。
そのため下の花がしおれてしまったとしても、上についている花はまだ元気に咲いているということもあります。
しおれてしまった下の部分の花を取り除けば、デザインを壊すことなく正月の花束・フラワーアレンジメントに彩りを添えてくれます。
デンファレには、白や紫、ピンク、グリーンなどの花色があり、他に使われている花の種類に合わせて色を選ぶことも可能です。
デンファレは、メインにも脇役にもなる花の1つのため、先に紹介した松や梅などを正月の花束やフラワーアレンジメントに選んだ後、もう少し花を足したいと思った時にデンファレを選ぶのも良いかもしれません。
花と花との間隔が広いことが気になるという時は、デンファレで間隔を調整することもおすすめです。
また、デンファレの1つの茎から花が複数付いていることを活かして、動きのあるデザインにすることもできるでしょう。
ユリ
大きく華やかな花が印象的なユリ。
凛として美しいユリの姿は、和室にも洋室にも映える正月の花束・フラワーアレンジメントを作ることができそうです。
ユリを加えた花束やフラワーアレンジメントは、正月にふさわしいボリューム感があり、豪華な雰囲気になるでしょう。
ユリは蕾がある状態でフラワーギフトに使われることも多く、 徐々に花が咲いていく様子を楽しむこともできます。
そのため、長く美しい様子を観賞することができるのです。
ユリを長持ちさせるためには、開花した時にできるだけ早く、花粉がしまわれている葯(やく)という部分を取り除くことです。
写真の茶色く細長い部分が葯になります。
正月の花束やフラワーアレンジメントを長く飾っておきたいという方は、ユリの葯を取り除くことを忘れないでくださいね。
ちなみに、ユリの花言葉は「純潔・威厳・無垢」など。
花言葉も清らかな新しい年のスタートにぴったりです。
オンシジウム(オンシジーム)
花束やフラワーアレンジメントに1本取り入れるだけで、一気に華やかになるオンシジウム。
1つひとつの花は小さいですが、オンシジウムが入ることによってパッと目を引く華やかでおめでたい雰囲気のデザインにすることができます。
オンシジウムは1年で1番初めの日である正月に飾るのに、ぴったりな明るさを持っています。
蝶々やドレスを着た女性、妖精が飛んでいるようにも見える鮮やかな黄色の花が印象的なオンシジウムは、正月の花束・フラワーアレンジメントにおすすめです。
花言葉は「一緒に踊って・可憐・気立ての良さ」などがあります。
このオンシジウムの「一緒に踊って」という花言葉は、ドレスを着た女性が踊っているように見えることから付けられたと言われています。
この花言葉と同じように、オンシジウムの英名は「Dancing lady orchid(ダンシングレディオーキッド)」といい、踊っているように見える花姿から付けられたのだそうです。
オンシジウムは華やかなだけでなく、フラワーギフト全体のボリューム感も増してくれます。
正月には大きくて豪華な花を飾りたいと思っている方は、ぜひオンシジウムを入れてみてください。
正月の代表的な鉢植え
お正月には、花束やフラワーアレンジメントに使われる切り花ではなく、鉢植えとして流通することの多い花もあります。
例えば、お正月らしさを演出するために、花壇や寄せ植えなどでもよく使われている、葉ボタン。
葉ボタンは、見るだけで年末が近いことや、新年の訪れを感じることができるはず。
花の少ない寒い時期も、葉ボタンは多く流通しています。
そして、お祝いなどでも贈られることもある胡蝶蘭も、華やかでおめでたいお正月にぴったりでしょう。
上品な胡蝶蘭を飾れば、今年もいいことがありそう。
またシクラメンは、クリスマスからお正月まで長く飾られることが多いです。
冬の花の少ない時期に、シクラメンの赤やピンクの鮮やかな色合いは、お庭を明るくしてくれるでしょう。
加えて、自宅で楽しむなら多肉植物の十二の巻もお正月・冬におすすめです。
葉の白い模様が雪のように見えたり、華やかに見せてくれたりします。
もっと正月らしさ、冬らしさのある鉢植えの種類が知りたい方は、こちらを併せてご覧ください。
正月の寄せ植えに使う花ってどんな種類?
正月・冬らしさのある鉢植えとは。
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干支とは
干支(えと)は、十干十二支(じっかんじゅうにし)を略した言葉で、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の組み合わせから成り立つものです。
● 十干とは・十干一覧
十干は、10日間を一区切りにして、1日ずつに名前を付けたものです。
「きのえ」や「きのと」など、漢字の読み方が特徴的なのは陰陽五行説が影響しているといわれています。
十干の一覧はこちら。
- 甲(きのえ)
- 乙(きのと)
- 丙(ひのえ)
- 丁(ひのと)
- 戊(つちのえ)
- 己(つちのと)
- 庚(かのえ)
- 辛(かのと)
- 壬(みずのえ)
- 癸(みずのと)
● 十二支とは・十二支一覧
十二支の起源は、暦や時間などを表すものといわれています。
多くの方は十干よりも、十二支の方が馴染みがあるかもしれません。
十二支の一覧はこちら。
- 子(ね)
- 丑(うし)
- 寅(とら)
- 卯(う)
- 辰(たつ)
- 巳(み)
- 午(うま)
- 未(ひつじ)
- 申(さる)
- 酉(とり)
- 戌(いぬ)
- 亥(い)
● 干支一覧
干支は、先にご紹介したように、十干と十二支の組み合わせで成り立っています。
1番目の甲子(きのえね)は、十干の「甲(きのえ)」と十二支の「子(ね)」を合わせたものです。
音読みでは(こうし)や(かっし)と読まれます。
干支一覧表
1 | 甲子(きのえね) |
---|---|
2 | 乙丑(きのとうし) |
3 | 丙寅(ひのえとら) |
4 | 丁卯(ひのとう) |
5 | 戊辰(つちのえたつ) |
6 | 己巳(つちのとみ) |
7 | 庚午(かのえうま) |
8 | 辛未(かのとひつじ) |
9 | 壬申(みずのえさる) |
10 | 癸酉(みずのととり) |
11 | 甲戌(きのえいぬ) |
12 | 乙亥(きのとい) |
13 | 丙子(ひのえね) |
14 | 丁丑(ひのとうし) |
15 | 戊寅(つちのえとら) |
16 | 己卯(つちのとう) |
17 | 庚辰(かのえたつ) |
18 | 辛巳(かのとみ) |
19 | 壬午(みずのえうま) |
20 | 癸未(みずのとひつじ) |
21 | 甲申(きのえさる) |
22 | 乙酉(きのととり) |
23 | 丙戌(ひのえいぬ) |
24 | 丁亥(ひのとい) |
25 | 戊子(つちのえね) |
26 | 己丑(つちのとうし) |
27 | 庚寅(かのえとら) |
28 | 辛卯(かのとう) |
29 | 壬辰(みずのえたつ) |
30 | 癸巳(みずのとみ) |
31 | 甲午(きのえうま) |
---|---|
32 | 乙未(きのとひつじ) |
33 | 丙申(ひのえさる) |
34 | 丁酉(ひのととり) |
35 | 戊戌(つちのえいぬ) |
36 | 己亥(つちのとい) |
37 | 庚子(かのえね) |
38 | 辛丑(かのとうし) |
39 | 壬寅(みずのえとら) |
40 | 癸卯(みずのとう) |
41 | 甲辰(きのえたつ) |
42 | 乙巳(きのとみ) |
43 | 丙午(ひのえうま) |
44 | 丁未(ひのとひつじ) |
45 | 戊申(つちのえさる) |
46 | 己酉(つちのととり) |
47 | 庚戌(かのえいぬ) |
48 | 辛亥(かのとい) |
49 | 壬子(みずのえね) |
50 | 癸丑(みずのとうし) |
51 | 甲寅(きのえとら) |
52 | 乙卯(きのとう) |
53 | 丁巳(ひのとみ) |
54 | 丁亥(ひのとい) |
55 | 戊午(つちのえうま) |
56 | 己未(つちのとひつじ) |
57 | 庚申(かのえさる) |
58 | 辛酉(かのととり) |
59 | 壬戌(みずのえいぬ) |
60 | 癸亥(みずのとい) |
● 2025年の干支は?
2025年の干支は、乙巳(きのとみ)です。
十二支は巳になります。
もっと詳しく干支や干支(十二支)を飾る意味を知りたい方はこちらをあわせてチェックしてください。
干支(十二支)を飾る期間は?
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正月には華やかな花束・フラワーアレンジメントを飾ろう
今回は正月の花束・フラワーアレンジメントにおすすめの縁起のいい花と、華やかで新年に彩りを加えてくれる花の種類についてご紹介しました。
正月に花を飾りたいと思っている方は、ご紹介した花を参考にしてみてください。
花を飾って、新しい良い1年のスタートを願いましょう。
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干支についての解説。お正月、初詣、おせち、大晦日に関わる縁起物の意味や願いを紹介。七福神も掲載中。