お供え
故人をしのぶ秋のお彼岸はいつ?ぼたもち・おはぎの違いは何?
1年のうち春と秋にそれぞれ1回ずつあるお彼岸。お彼岸にはお墓参りをする方も多いと思います。また、「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく耳にするのではないでしょうか。
しかし、お彼岸とはいつからいつまでのことをさすのでしょうか。また、なぜお墓参りをするのでしょうか。今回の花だよりではお彼岸についてお伝えいたします。
■お彼岸の時期はいつ
お彼岸は春分・秋分の日を中心とし、その前後3日間を足した期間のことをさします。2024年の秋分の日は9月22日なので、秋のお彼岸は9月19日~9月25日となります。
秋分の日以降は昼と比べて夜が長くなります。反対に、春分の日以降は昼の方が長くなります。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、お彼岸の時期には昼と夜の長さが逆転し、暑さや寒さが落ち着いてくるという理由からきています。
なぜお彼岸の時期にお墓参りをするか、ということも春分・秋分の日と関係しています。仏教の教えでは死後の世界を「彼岸」、この世を「此岸(しがん)」と呼びますが、この彼岸と此岸がもっとも通じやすくなるのが昼と夜の長さが等しくなる春分・秋分の日といわれています。
お彼岸はこの世からあの世へと想いを届けやすい時期なので、日本では古くからお墓参りや先祖供養がおこなわれてきました。国民の祝日に関する法律でも、秋分の日は「先祖をうやまい、なくなった方々をしのぶ日」とさだめられています。
ちなみに、お彼岸はほかの仏教国にはない、日本独自の風習とされています。
■ぼたもち?おはぎ?
ぼたもちといえばお彼岸のお供えでもつかわれることが多い和菓子です。うるち米ともち米をまぜたものを蒸し、米粒がのこる程度につぶしてあんこを周りにまぶしたものです。昔は高級品であったため、客人のおもてなしやお祝いの席でもふるまわれていました。
ですがこの和菓子、ぼたもち以外にもおはぎという呼び方をされることも多いです。一般的には春はぼたもち、秋はおはぎと呼び分けられます。
これはなぜかというと、春には春の代表的な花のひとつである牡丹(ぼたん)に見立てて「牡丹餅」、秋には秋の代表的な花の萩(はぎ)に見立てて「お萩」と呼ぶようになったためといわれています。
ぼたもちとおはぎの違いは単に名前だけでなく、形やあんの種類も異なっています。ぼたもちは牡丹の大きな花ににせて丸く大きめに作り、おはぎは萩の細長い形ににせて俵型につくります。
また、小豆が収穫できるのは秋であるため、やわらかい小豆をそのまま使えるおはぎはつぶあん、冬を越してかたくなった皮を小豆から取る必要があるぼたもちはこしあんでつくられます。
■お彼岸の花贈り
お彼岸にはなくなった人を偲びお墓参りをおこないます。そのさいには花束を持っていき、墓前にお供えします。
このときの用意するお花は3,000円~5,000円程度のものにするとよく、また墓前用なので一対用意するようにしましょう。
親族やお世話になった方へのお供えとしてご自宅に送る場合はアレンジメントもいいでしょう。この場合は彼岸入りする前日、つまり今年であれば9月18日がもっとも好ましい日となります。
また、アレンジメントの場合、お花は5,000円程度のものにします。法要が行われる場合にはお名札をたて、誰から贈られたものであるのかが分かるようにしましょう。
~お花を贈る時~ 【お悔やみ・お供えのお花】を贈る
知っておきたい弔事の花贈りマナー。
故人を悼み、偲ぶ想いもマナーやご遺族の意向に反してしまっては、かえってご遺族に面倒をおかけしてしまうことにもなりかねません。
地域や宗教によって慣習が異なりますから、その都度お花屋さんに相談するのが一番ですが、最低限知っておきたい弔事の花選びについてご紹介します。
■ご葬儀前に贈る
訃報は突然やってくるもの。訃報を知りかけつける時に、枕元にお花を飾ってあげたい。すぐに伺えないけれど、お通夜までの間にご遺体のそばに飾るお花を届けたい、といった場合に贈るお花を『枕花』といいます。
<お花の選び方>
白一色(白上がり)の献花を供えるのが一般的。ご遺族に飾る手間をかけさせないアレンジメントで、ご予算は5,000円~8,000円となります。
お花屋さんに直接頼む場合は、5,000円~8,000円の『枕花』と伝えます。弔問に持参する際にはそのことを伝えれば、大げさにならないアレンジメントに仕上げてくれます。
<お届けの注意点>
亡くなって間もない時期は、ご遺族は悲しみを感じる暇もないくらい慌ただしく過ごさなければならないことも多いものです。そのような時にお花が届いても、飾る手間をかけることができません。通常はこの時期にお花をお届けすることはありません。
『枕花』を贈るのは一般的には特に親しかった方や血縁者の逝去の場合に限ります。
■通夜・葬儀に贈る
もともとお通夜は遺族や親族など血縁の濃い人々が、故人に寂しい想いをさせないようにと夜を共にしたもの。以前は自宅で行われることが多かったのですが、最近では葬儀場や集会所などの自宅以外の場所で時間を決めて行い、そのまま同じ場所で翌日葬儀を執り行うことも増えてきました。
通夜・葬儀の会場を飾るお花は事前に手配し葬儀社・斎場へ届けます。
※通夜・葬儀への参列にお花を持っていくことはありません。一般的には個人ではなく、故人・ご遺族と関わりのあった法人や同窓生などの団体からお悔みの花として贈ります。
個人でお花を贈る場合は初七日~四十九日の間に、また通夜、葬儀に手配が間に合わなかった場合は、無理して贈らずに、遺族が落ち着かれた頃に自宅へアレンジメントを届ける等、違った形で弔意を伝えるのがよいでしょう。
<お花の選び方>
1.『スタンド花』
主に企業や同窓生などの団体から贈るときや、斎場での葬儀の場合に選ばれます。
スタンド花は色あいや、形態、形式などを、慣習の違いや喪主様・葬儀社の意向により指定されている場合もあるので注意を払う必要があります。
一対(二基)以上で贈る地域、一基で贈る地域、白一色が好まれる地域、色が入ったほうが好まれる地域など、全国各地には様々な慣習があります。
お届け現地の生花店におまかせして、最適な形でお届けするのが基本です。
2.『アレンジメント』
自宅での通夜・告別式の場合、またはご遺族の意向によりスタンド花ではなくアレンジメントをご希望の場合は意向に従いお届けします。
『台座付アレンジメント』を選ぶと祭壇まわりに並べやすくなります。
<お届けの注意点>
葬儀場によっては、お花のお届けに指定がある場合や、持ち込み料金が別途必要となる場合がありますので確認が必要です。
また、ご遺族により供花を辞退される意思を示されている場合もありますので、可能であれば葬儀会場等へ事前に問い合わせると安心です。
■初七日・四十九日法要(忌日法要)に贈る
仏教では、故人が亡くなられてから四十九日を「中陰」と呼び、死者が生死・陰陽の間をさまよっているとされ、この世に残された者が、故人があの世でよい報いを受けられるよう、極楽浄土に行けるように供養をするのが忌日法要です。
<お花の選び方>
贈る形はそのまま飾れるアレンジメントを選びましょう。5,000円~10,000円程度のものを選べば、適度なサイズに仕上がります。
四十九日が過ぎるまでは白でまとめたお花を贈るのが好ましいですが、ご家族を慰める気持ちを表した淡い色目のお花や、故人が好きな花を取り入れるのもよいでしょう。
地域の習慣で適したもの、適さないものも異なる場合がありますので、受け取る方への心遣いが必要です。また、棘のあるバラは避けましょう。
四十九日が過ぎてからは、お届けするお花には淡い色のお花をとりいれても問題ありません。
亡くなられてから時間が経つにつれて、お花の色も少しずつ明るめにしていきます。
<お届けの注意点>
最近では、初七日の法要は葬儀と同じ日に済まされることも多いので、個人でお悔やみのお花を贈る場合には四十九日へお供えするのがよいでしょう。
自宅以外の法要式場等へお届けする場合は、法要当日の開始前まででもかまいません、
自宅へのお届けの場合、法要当日はあわただしい場合もありますので、前日までにお届けします。
お寺での法要に参加する等でお墓も参る場合は対の仏花も持参しましょう。
■祥月命日・年忌法要(一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌等)に贈る
祥月命日とは亡くなられた日と同月同日の日のこと。
特に重要な年忌には、故人を偲んでご遺族・ご親族や故人とゆかりのあった人が集まって供養を行う法要を行います。
一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続き、三十三回忌をもって年忌止めとするのが一般的です。(五十回忌法要を営む場合もあります。)
七回忌以降はご遺族だけで、規模を小さくして法要を営むようになりますので、法要に参加せずに、お花だけをお届けするなら、七回忌くらいまでお届けしたいものです。
<お花の選び方>
自宅にお届けする場合は、祥月命日にご仏前にお供えするお花も、法要へ贈るお花も、普段お花を飾られる習慣のある方へ贈るなら花束でも大丈夫です。
花束の場合は飾る花瓶が必要になりますから、不安な場合はアレンジメントにしましょう。また、弔事用の胡蝶蘭もありますので、年忌法要へは鉢物も可能です。
自宅以外の会場での法要へ贈る場合は、ご遺族がお持ち帰りくださる可能性も高いですから、重い鉢物は避けましょう。
一周忌など規模の大きな法要の場合はスタンド花を並べることもありますから、こちらも法要の案内を受けたら、会場へ確認するとよいでしょう。
<法要のない年の祥月命日のお花>
4,000円~8,000円程度であまり大きすぎないもの。
<年忌法要へのお花>
花束やアレンジメントであれば10,000円前後のもの。供花台付アレンジメントやスタンド花、鉢物の場合は15,000円~20,000円程度のもの。
<お届けの注意点>
年忌法要の年に贈る場合は、法要の日付と場所を確認しましょう。
法要は、正しくは故人の命日に集い、行うものですが、都合によっては命日より前に行うこともありますし、七回忌までは自宅以外のお寺、斎場、ホテルなどで執り行う場合もあります。
・ご自宅へお届けする場合
毎年の命日にお供えするお花なら、祥月命日の前日の午後にお届けするとよいでしょう。
年忌法要にお届けする場合は、祥月命日の前日の午後か、法要前日の午後に届くように手配しましょう。法要当日は準備もありますからかえって負担をかけてしまうことになりかねません。
・ご自宅以外の法要会場へお届けする場合
当日の法要開始前までに会場に届くよう手配しましょう。
会場へのお届けの際は、故人のお名前、法要の時間などしっかり確認しておくことが必要です。他にも法要の予定があると会場内のどこにお届けのお花かわからなくなる可能性があります。
お寺での法要の場合は、お花を飾る場所や花器の有無や決まりについて事前に問い合わせておけば、より適したお花を贈ることができます。お寺の規模によって飾ることができるお花のサイズも異なりますし、花器が決まっている場合、もしくは花器がない場合も考えられますから注意が必要です。
■お盆(新盆・初盆)に贈る
お盆とは・・・
正式には盂蘭盆(うらぼん)といい、お釈迦様の弟子である目連尊者が、亡き母が餓鬼道に落ち、苦しんでいる姿を見て、母を救う方法をお釈迦様に尋ねたところ、お釈迦様は「毎年七月十五日に、僧侶や貧困に苦しむ人々にご馳走を与えれば救われる」と教えたという故事に由来しています。
お届けのタイミングはお盆前日が適切です。
初盆・新盆とは・・・
故人が亡くなられて、四十九日の忌明け過ぎてから初めて迎えるお盆を新盆(にいぼん)・初盆(はつぼん)と呼びます。(四十九日の忌明け前にお盆を迎える場合は翌年のお盆を新盆とします。)
お盆は仏教の「盂蘭盆会」のことで、毎年この時期に先祖の霊が家に戻ってきますので、子孫が集まって霊をお迎えし、手厚いもてなしで供養する風習です。
新盆は、故人が亡くなって初めての里帰りですので、親族が集まって法要を行い盛大に供養します。
<お花の選び方>
白でまとめたアレンジメントや花束が基本ですが、紫のお花を取り入れたものも気品があっておすすめです。
特に新盆は故人の霊を盛大にもてなすものですから、そのまま飾れて華やかさの増す供花台付アレンジメントが便利です。
ご仏前としてご自宅へお届けするなら5,000円~10,000円の花束やアレンジメントで、故人を偲ぶメッセージを添えれば、ご遺族を思う気持ちも伝わります。法要へお届けする際は供花台付アレンジメント(15,000円~)に御名札をたててお届けしましょう。
<お届けの注意点>
お盆は地域により時期が異なりますので、お届け前に確認が必要です。
お盆に入る前日にお届けするようにしましょう。
■お彼岸に贈る
私たちが生きている俗世間「此岸」から、迷いのない悟りの境地「彼岸」、すなわち死後の苦しみのない極楽浄土へ至ることができるよう、亡くなった先祖を参る「お彼岸」。仏教の考えが軸になり定着した風習ですが、数ある仏教国の中でも日本独自の文化です。
春彼岸は「春分の日」をはさむ前後3日間の7日間、秋彼岸は「秋分の日」をはさむ前後3日の7日間のことで、「春分の日」「秋分の日」を中日と呼びます。
地域により異なる風習がありますが、花を供え先祖を想い、供養する大切な期間です。
>春のお彼岸について詳しくはこちら
>秋のお彼岸について詳しくはこちら
<お花の選び方>
白と淡い色でまとめたアレンジメントや花束がおすすめです。亡くなられてから年月が経っている場合は、明るい色を入れたアレンジメントでも大丈夫です。
墓前に供えるなら、対の花束を用意します。
ご仏壇まわりのお花は5,000円程度のものを、墓前に供える花束は3,000円~4,000円(一対)のものを用意するとよいでしょう。
<お届けの注意点>
相手のご自宅へ贈る場合は「彼岸入り」前日の午前中にお届けします。お彼岸に法要を行うことが分かっている場合は、彼岸の入りではなく法要の前日にお届けします。