花, 花と文化
千両と万両の違い・見分け方|正月の赤い実「南天・ヤブコウジ」も掲載
お正月によく見かける赤い実である、千両と万両の違いについて掲載しています。
加えて千両と万両に似ている、十両(別名:ヤブコウジ)や南天についても紹介。
「あれ……?この赤い実の名前は?」と思ったら、チェックしてみてください。
千両(センリョウ)の基本情報
まずは、千両の基本情報からご紹介します。
- 学名:Sarcandra glabra
- 科・属:センリョウ科・センリョウ属
- 樹高:70センチ~1メートル
- 実が付く時期:11月~1月ごろ
- 花言葉:利益・裕福
- 葉の特徴:周りがギザギザしている
お正月でよく見る赤い実と紹介しましたが、千両は黄色の実も流通しています。
庭に植えたり、鉢植えで流通していたり、お正月の花束やフラワーアレンジメントに使われています。
万両(マンリョウ)の基本情報
続いて万両の基本情報もご紹介します。
- 学名:Ardisia crenata
- 科・属:サクラソウ科・ヤブコウジ属
- 樹高:1メートル以上
- 実が付く時期:11月~3月
- 花言葉:寿ぎ(ことほぎ)・陰徳
- 葉の特徴:葉の周りが波打っているように見える
実が下向きに付くことも特徴の1つである、万両。
花束やフラワーアレンジメントに使われる切り花としてはほとんど流通していないですが、鉢植えなどで販売されています。
ちなみに、実の色は赤以外に白もあります。
千両と万両の違い
千両と万両のそれぞれの特徴を踏まえて、違いをまとめました。
上の写真は手前の赤い実が万両で、奥の黄色の実が千両です。
分類 |
赤い実を付けることは同じですが、そもそも分類的に違う植物です。 |
---|---|
樹高 |
千両の方が樹の高さが低いことが多いです。千両は比較的にコンパクトなので、狭い庭にも植えることができます。 |
実の位置 |
実のなる位置は、見た目で1番比較しやすいポイントかもしれません。万両は葉と実の位置に差があるので赤と緑のコントラストがきれいです |
実の大きさ |
1つの実の大きさを比べると違いが分かりやすいと思います。 |
葉の特徴 |
千両の方が葉がギザギザしているイメージです。実の見分けがつかない時は、葉を比較するのもよさそうです。 |
実が赤くなる時期 |
千両の方が赤くなる時期が早いです。千両か万両を見つけたタイミングで、見分けることもできそう。 |
流通方法 |
お正月の花束で見る赤い実は、基本的に千両が多いです。万両はほとんど切り花として出回っていないため、切り花で見つけたときは千両のことがほとんど。 |
実は、意外と違いのある千両と万両。
似ているイメージがありますが、ゆっくり観察したら見分けることができそうです。
下に、改めて千両と万両の写真を掲載します。
見比べてみてください。
▼千両
▼万両
他に似ている赤い実の植物
実は千両と万両以外にも、お正月に使われる赤い実は他にもあります。
千両と万両との違いが分かりにくい種類もあるので、合わせてチェックしてください。
十両(ジュウリョウ)・ヤブコウジ
まずはヤブコウジ、別名「十両」も赤い実を付けます。
ヤブコウジの基本情報から見ていきましょう。
- 学名:Ardisia japonica
- 科・属:サクラソウ科・ヤブコウジ属
- 樹高:10センチ~30センチ
- 実が付く時期:10月~2月
- 花言葉:明日への幸福
- 葉の特徴:周りに小さなギザギザがある
小盆栽などで見かける赤い実の植物は、十両とも呼ばれているヤブコウジがほとんどです。
花束やフラワーアレンジメントに使われることはほとんどなく、先にお伝えした小盆栽やコケ玉、寄せ植えなどでよく活用されています。
ヤブコウジは手のひらに乗るくらい、小さなコケ玉も販売されていることも。
お正月が近付くとお花屋さんでも販売していることがあるので、ぜひチェックしてみてください。
ヤブコウジの実の付き方は、万両と似ていてぶら下がるようについています。
ちなみにヤブコウジも万両と同じ、サクラソウ科・ヤブコウジ属です。
分類が同じだと似ている点が多いので、他に似ている植物を見つけたときは分類も調べてみるのも面白いかもしれません。
南天(ナンテン)
お正月によく見かける赤い実の1つに、南天もあります。
南天も基本情報からご紹介します。
- 学名:Nadina domestica
- 科・属:メギ科・ナンテン属
- 樹高:1メートル~3メートル
- 実が付く時期:11月~12月
- 花言葉:幸せ・私の愛は増すばかり・よき家庭
- 葉の特徴:鳥の羽のように小さな葉が並んでいる
千両と同じく、南天も花束やフラワーアレンジメントに使われる切り花としてよく流通しています。
「堂々とした木」というよりも、しなやかなイメージで南天は軽やかな雰囲気があります。
花束やフラワーアレンジメントに使われる以外には、生け花などでも活用することも。
千両と同じく、おめでたいときによく活躍する植物です。
実の付き方は、ブドウの房のようにたくさんの実を垂れ下がらせます。
フラワーギフトで使われるときは、実の付き方を適正に調節していることが多いですが、庭などで育てている南天や野生のものは数えきれないほど実が付いていることもあるのだそう。
小さな赤いが連なって、大きな赤い塊に見えることもあるようです。
南天(ナンテン)はその名前から「難を転ずる」と連想され、縁起が良い植物として有名です。
そのため千両や万両などと同じく、お正月の時期によく使われています。
「お花を飾らないから、あまり南天は見たことがないかも?」と思った方は、おせちを想像してみてください。
南天の葉は、おせちのあしらいとして料理の上に乗せたり敷いたりすることもあります。
南天の葉がおせちの中で使われているところや、南天の葉をモチーフにしたバランを見たことがある方も多いのでは。
実は南天の葉は抗菌・防腐作用もあるため、おせちで使われているのだそう。
おせちにあしらわれているのは、縁起の良さだけではなく、南天ならではの効果もあったのですね。
お正月に飾りたい赤い実はどれ?
今回はお正月に見ることが多い、赤い実を付ける植物についてご紹介しました。
自宅にお正月の花束やフラワーアレンジメントを飾るという方は、どの植物が使われているかチェックしてみてください。
ちなみに花キューピットでも南天などの赤い実を使った、花束やフラワーアレンジメントもご用意しています。
気になった方は、ぜひサイトをのぞいてみてください。