花, 花と文化, 花を贈る時
一年分の感謝をこめて ~お歳暮~
11月に入ると、クリスマスやお正月などのイベントの話とともに、お歳暮の話が聞こえてくるようになります。一年分のありがとうをこめて贈るものですので、何を贈ろうかと迷ってしまいますよね。
今回の花だよりでは、お歳暮についてお伝えします。
■お歳暮の昔と今
もともと歳暮とは、漢字が示す通り「歳の暮れ=年末」をさす言葉でした。
江戸時代の初めごろ、武家の間で、一年のおわりにお世話になった方へ贈りものをする「歳暮まわり」という習慣が定着しました。1688年に刊行された「日本歳時記」という本には、贈りものを贈る相手や、歳暮まわりをするときの心構えなどが記されています。
江戸時代の中ごろになると、歳暮まわりは商人を中心とした庶民の間で広まっていくことになります。そして、歳暮まわりが広まるうちに、贈りものをさして「お歳暮」と呼ぶようになりました。
戦後になってからは会社の上司や取引先、習い事の先生や仲人へと贈ることが一般的でしたが、現代ではより親しい親戚や友人、離れて暮らす家族へ贈る方が多くなっています。
■「のし飾り」の意味
お歳暮に限らず、お祝いや贈答品でつかわれる「のし紙」。この「のし」とは、乾燥させて薄く伸ばしたアワビである「熨斗鮑(のしあわび)」のことをさします。
古来から肉や魚介類などは慶事になくてはならないものでしたが、その中でも特に熨斗鮑は古くから不老長寿などの縁起物として珍重されていました。伊勢神宮で6月・12月におこなわれる「月次祭」、10月の「神嘗祭」というお祭りには、熨斗鮑が献上されます。
めでたいものの象徴である熨斗鮑は贈答品などに添えて贈られるようになりますが、非常に高価な熨斗鮑を手軽に贈るのは難しく、やがて熨斗鮑を模したのし飾りがつけられるようになりました。
のし紙はのし飾りをあらかじめ掛け紙に印刷しているもので、熨斗鮑を更に簡略化したものといえます。
■お歳暮はお花で
お歳暮といえば魚介類やハム、ビールなどのお酒が主流ですが、食品を贈らなければいけないという決まりはありません。一年の感謝の気持ちを伝えるものなので、相手の好みに合わせたものを贈るといいですね。
お花を育てることが好きな方には、産地から直接お届けする花鉢がおすすめです。冬の花鉢の代表であるシクラメンには多くの品種があり、日ごろから花を多く育てている方にも喜ばれることでしょう。
季節の花鉢に感謝の気持ちをこめて、今年はお花のお歳暮を贈ってみませんか。