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故人の初めての里帰り ~特別なお盆 初盆・新盆~
8月に入り、全国的にお盆のシーズンがやってきました。東京など一部の地域では7月にお盆をおこなう地域もありますが、お盆休みは8月にある、という企業も少なくありません。お盆休みを利用して、久しぶりに親戚と会うという方も多いのではないでしょうか。
お盆は古くから親戚一同が集まり、先祖の霊を慰めるという意味がありました。その中でも、故人が亡くなってから初めてむかえるお盆である「初盆・新盆」は特別な意味合いを持っていました。
今回の花だよりではそんな初盆のことについてお伝えします。
■初盆・新盆と普通のお盆はどうちがう?
初盆(はつぼん)、または新盆(にいぼん)とは正確には四十九日の忌明け後、初めてむかえるお盆のことをさします。故人が亡くなってから四十九日以内にお盆をむかえる場合は初盆とはならず、翌年のお盆が初盆となります。
四十九日の忌明けは亡くなった日を1日目、その翌日を2日目…と数え、49日目のことをさします。宗派や地域によっては35日目を忌明けとするところもありますが、初盆に関しては「四十九日を過ぎた後にむかえる初めてのお盆」をさすところが多いようです。
初盆は故人が亡くなってから初めて戻ってくる日とされているため、盛大に初盆法要をおこない故人の霊をもてなします。初盆には親族だけでなく、故人と親しかった友人を招くことも多いです。
■初盆の風習あれこれ
ひとくちに初盆といっても、地域や宗派によってそれぞれ特色があります。ここでは初盆の風習について、簡単に紹介したいと思います。
初盆には仏壇の前に精霊棚(しょうりょうだな)をつくり、供物をお供えします。精霊棚には食べ物やお花などを飾ります。精霊棚のかたちや供物は地域によってかなりの違いがみられるようです。
ナス、キュウリとつまようじで精霊馬(しょうりょううま)をつくり、精霊棚に飾ることもあります。精霊馬には故人の霊を足の速いキュウリの馬でむかえに行き、見送るときには足の遅いナスの牛に乗ってもらう、という意味があります。
お盆にはあの世から戻ってくる霊が迷わないようにちょうちんを飾りますが、初盆には特別に白無地のちょうちんを飾るとされています。この初盆用のちょうちんは故人の家族が買うのではなく、親族が贈る習わしがありました。
現代では住宅事情からちょうちんを飾らないこともあり、初盆には親族がちょうちん代を包んで渡すことが多いようです。飾る場合でも、白無地のちょうちんは初盆でしか使えないので、翌年以降も使える模様入りのちょうちんを用意することが増えました。
■初盆の花贈り
初盆はまだ故人が亡くなってから日が浅いのもあり、白いお花でまとめたアレンジメントや花束を贈るのがもっとも適しています。初盆で初めて里帰りする故人の霊をもてなすという気持ちを表すために、5000~10000円の華やかものを選ぶようにします。
先述のとおり初盆には盛大な法要を行います。初盆法要に合わせて贈る場合、届いたそのままに飾ることができるアレンジメントならご遺族の方々のお手を煩わせることがありません。
アレンジメントには誰から届いたものかが分かるように、お名札をつけるのを忘れないようにします。
墓前に飾る場合や、自分で直接持っていく場合には花束が適していますので、状況に応じて選ぶようにしてください。
花束の場合は、故人を偲ぶメッセージを同封するとご遺族の方に気持ちが伝わることでしょう。
また、お花はお盆入りする前日の8月12日に届くようにするのがマナーです。早め早めの準備を心がけた方がいいですね。
ただし、東京をはじめとする一部の地域は7月にお盆をおこないます。贈り先ではすでに初盆法要が終わっていた…ということがないように、贈る前に調べておきましょう。