花
秋の深まりを感じる「キンモクセイ」の芳香
ジンチョウゲ、クチナシと共に「三大香木」と呼ばれている【キンモクセイ】。
一度嗅いだら忘れられない、甘く強い香りが魅力的な花です。
今回の花だよりでは、秋の深まりを感じさせる【キンモクセイ】についてご紹介します。
■短い期間でも印象に残る香り
秋の花であるキンモクセイは、9月中旬~10月下旬頃に開花期を迎えます。
オレンジ色の小さな花を無数につけ、こんもりとまとまって咲くのが特徴です。
1つの花が咲いている日数は短く、3~7日ほどで散ってしまいます。
そのため、香りを楽しめる期間はあまり長くありません。それでも印象に残る香りですね。
また、虫が好みそうな香りながら、意外にも虫が忌避する成分を含んでいます。
中でもモンシロチョウに効果があり、その他にも多くの害虫を寄せ付けません。
香りはもちろんのこと、花のほうも昔から重宝されています。
白ワインに花を漬けこんだ【桂花陳酒】は、楊貴妃の愛したお酒と言われています。
お茶に花を入れて香りを移した【桂花茶】には、リラックス・ストレス解消の効果があるとされます。
あまり知られていませんが、キンモクセイは雄株と雌株に分けられます。
日本にあるものは、ほとんどが雄株となっています。
実がなるのは雌株のみで、日本のキンモクセイの多くは結実できません。
より香りが強く花がたくさん咲くことから、雄株ばかりが広まったことが理由です。
■ロマンチックで美しい花言葉たち
【謙虚】
キンモクセイの香りを感じても、すぐに木が見つからなかったことはありませんか?
たくさんの人を魅了する香りにも関わらず、花姿が小さくつつましいことに由来します。
【気高い人】
元々咲いている期間が短いですが、雨に当たると早々に散ってしまいます。
素晴らしい香りを惜しむことなく、いさぎよく散りゆく姿が「気高い」とされました。
【初恋】
花が終わってしまっても、香りの印象はなかなか消えませんよね。
記憶に残りつづける甘い香りを、甘ずっぱい「初恋」の思い出になぞらえた花言葉です。
香りにまつわる、ロマンチックで美しい花言葉が多いですね。
かわいらしく控えめな花とともに、長い間愛されてきたことが分かります。