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お花と季節の変わり目 ~節句~

季節の移り変わりと密接な関係があるお花。四季が変わると、見ごろを迎えるお花もまた変わります。

ひな祭りや子どもの日のことを別名で「節句」といいますが、この節句は季節の分かれ目をさしています。そして、節句にもお花は深いかかわりがあることをご存知でしょうか。

今回の花だよりでは、お花と節句についてお伝えします。

■季節の変わり目 節句

sekku節句とは季節の分かれ目のことをさし、「節供」とも書きます。中国発祥のものですが、日本にも古くから取り入れられ、江戸時代には法制化もされています。

節句は全部で5日あります。

・人日(七草の節句)
1月7日は古代の中国で、人の運勢を占い、また人を大切にする日とされていました。同時に、7種類の野草が入った温かい吸いものを食べ、無病息災を祈りました。

一方の日本では、年の初めに雪の間から伸びてきた若い芽を摘みとって食べる「若菜摘み」という風習がありました。人日が中国から渡ってくるとこの若菜摘みの風習が混ざり合い、1月7日に健康を願って七草粥を食べる風習に変わっていったとされています。

・上巳(桃の節句)
日本に伝わってきた当初は、3月の最初の巳の日に人形に1年の厄を移し、川に流すという風習でした。人形の製作技術が上がり、段々豪華になってくると、川に流すのではなく家に飾る「雛人形」へとかわります。雛人形やひなあられ、ひし餅は幸せな結婚や子孫繁栄を祈り、特に女の子の成長を願うものとして扱われました。

また、桃には邪気を払い不老長寿をもたらすと考えられていました。上巳のころにはちょうど桃の花が咲くため、厄払いの桃が飾られるようになったといわれています。

・端午(菖蒲の節句)
5月の頭ごろ、菖蒲という花が最盛期を迎えます。強い香りを持つ菖蒲はその香りから邪気を払う植物とされ、5月の最初の午の日には菖蒲湯に入り、菖蒲酒を飲んで英気を養う日となりました。菖蒲の香りには疲労回復の作用があり、春から夏に変わり田植えの季節でもある5月には、ありがたい植物だったのでしょう。

日本の政治が貴族中心から武家中心に移り変わると、菖蒲は「尚武」とかけられ、男の子の健やかな成長を祈る行事となります。これが現在の子どもの日に繋がります。

・七夕(笹の節句)
7月7日に星々に願いをかける風習は、織姫と彦星の話とともに中国から日本に渡ってきました。日本には古来から機織りの名人であった棚機津女(たなばたつめ)の伝説があり、その伝説が中国から渡ってきた七夕の風習と混ざり合い、当初は機織りの上達を願う日であったとされています。

時がたつにつれて機織りだけでなく習い事全般の上達を願い、また笹や竹に短冊をつりさげるようになります。現代の七夕飾りのような形になったのは、江戸時代とされています。

・重陽(菊の節句)
古来の中国では、奇数は陽の数=縁起のいい数とされていました。奇数の中でも最大の9が重なる9月9日は非常におめでたい日とされました。9月9日には丘に登り、秋の野山を眺めながら菊の花を浮かべたお酒を飲んだといわれています。

日本には天武天皇のころに菊花の宴が伝わります。平安時代になると9月8日に菊に綿をかぶせておき、翌日の9日に菊の露で濡れた綿で肌をこすり若さを保つという「菊綿」という風習が、主に女官たちのあいだでもてはやされました。

■邪気を払うお花

節句の別名にお花の名前が使われていることから分かるように、節句にはお花が密接に絡んでいます。古来からお花には邪気を払う神聖な力があると考えられていたのと同時に、いち早く新たな季節の訪れを告げてくれるのがお花であったからでしょう。

節句の風習ははるかな昔から受け継がれてきた風習ですが、そこにはお花という身近な存在が深く関係しているおかげであるのかもしれませんね。

次の節句は、桃の節句であるひな祭り。ひな人形と一緒に、邪気を払う桃を飾って、女の子の健やかな成長を祈る一日です。

春の訪れには桃をつかった柔らかな色合いのフラワーギフトで、彩り豊かにお祝いしませんか。

2016-01-15 | Posted in , 花と文化No Comments » 

 

花言葉と文化

どんな花にも必ず花言葉があります。好きな花の花言葉が知りたくなるのはもちろん、贈りものとして花を贈るときにも花言葉を気にする方は多いのではないでしょうか。

今回の花だよりでは、花言葉についてお伝えします。

■花言葉の決まり方

flowers2身近な花から道端に咲く花、野菜や果物にまでつけられている花言葉。あまり馴染みのない花にまでつけられていますが、この花言葉は誰がつけているのでしょうか。

花に特別な意味をこめて贈る、という花言葉の先駆けとなった習慣は、17世紀ごろのオスマン帝国(現在のトルコ)が発祥だといわれています。この習慣がヨーロッパで爆発的に広まり、さらに日本へ入ってきたのが19世紀ごろです。

ヨーロッパで花言葉が広まったときには、神話や昔話からつけられたもの、花のもつ特徴から連想されたもの、国や民族の中でその花に対するイメージからつけられたもの、など、様々な理由から花言葉が決められました。そのため、当時から1つの花に複数の花言葉がついていたのは珍しくないようです。

日本に花言葉の概念が伝わって以降は、日本独自の花言葉も数多くつけられるようになりました。新しい品種の花がうみだされたときなどは、生産者や販売会社が決めたり、公募で決められたりします。

花言葉は世界各地での花のイメージに基づいているため、花言葉を知ればその国の文化や逸話などを知ることができるかもしれませんね。

■人気な花の花言葉

flowers

・バラ

「美」という花言葉をもつバラ。これは、海から美の女神ヴィーナスが生まれたときに、大地が負けじとバラを生みだした、というギリシャ神話のエピソードからつけられています。

・ガーベラ

可愛らしく、明るい色の花が多いガーベラ。「希望」「常に前進」という前向きな花言葉がつけられていますが、これは見ているだけで明るい気持ちになれるガーベラの花姿からつけられました。

・ユリ

「純潔」の花言葉は白ユリが聖母マリアの象徴であることから、「威厳」の花言葉は威風堂々としたユリの花からつけられたといわれています。

ヒマワリ

成長期には太陽を追いかけるように花を動かすヒマワリには「私はあなただけを見つめる」という花言葉がつけられました。太陽神アポロンに恋し、ヒマワリへと姿を変えてしまった水の精クリュティエの神話も元になっています。

■春の花の花言葉

・チューリップ

ある町に暮らしていた美しい少女に、3人の騎士が恋をします。1人は名声の象徴である王冠、1人は力の象徴である剣、1人は富の象徴である財宝を贈り求婚しました。

誰を選んでも、残った2人が悲しむであろうことを憂いた少女は、花の女神に頼んで自らをチューリップに変えてもらいます。そのとき、王冠は花に、剣は葉に、財宝は球根になったといわれています。

この話がもととなって、チューリップには「思いやり」という花言葉がつけられました。いつでも優しいあの人の誕生日やお祝いには、チューリップがぴったりですね。

・桜

日本の春を象徴する花、桜。もちろん桜にも花言葉があります。「すぐれた美人」「精神美」は、すべての桜で共通の花言葉としてつけられています。

「すぐれた美人」は、桜が古くから花の代表として親しまれていたためにつけられた花言葉だといえるでしょう。「精神美」もいかにも日本的な花言葉に思えますが、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンが子どもの頃、父親が大切にしていた桜を誤って傷つけてしまい、そのことを正直に告白したという逸話からとられています。

外見、内面を問わず、美しい方への贈りものとして、桜のフラワーギフトを贈ってみては。

・ラナンキュラス

「とても魅力的」「優しい心遣い」などは、ギリシャ神話に登場する心優しい青年ラナンキュラスからとられました。

また、「名誉」「名声」という花言葉も特徴的。この花言葉は、フランス王ルイ9世が花好きの母親のために、遠征先の西アジアから持ち帰ったという話からつけられています。

魅力にあふれる心優しい方には、ラナンキュラスのフラワーギフトでお祝いしませんか。

2016-01-08 | Posted in , 花と文化No Comments » 

 

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